イケメンルーキーに恋をした
長身の彼を見上げながら話すのは首が痛くなる。
田尾くんはあたしが話している間ずっと無表情で、あたしの声が耳に入っているのか入っていないのかわからない。
ただ、真っ直ぐ体育館の中を見ていた。
「あの……田尾くんはさ、中学の時、バスケ、やってたよね?」
あたしは探るように田尾くんに上目づかいで聞いた。
「……やってませんよ」
「……え?」
真っ直ぐ前を向いたまま、ボソリと言った田尾くん。
あたしが聞き返すと、ゆっくりあたしを真顔で見下ろし、少し首を横に傾げた。
「俺、いつバスケ部だったって言いました?」
……え?
べ、別に聞いてはないけど……。
あのクラスマッチのフォームを見たら、バスケ経験者かなって……。
「バスケなんて、ルールすら知りません」
外は曇りで全く眩しくないのに、あたしを見下ろす田尾くんは目をキュッと細めあたしを見た。
睨まれているわけではないのに、彼の瞳につかまって体の神経が固まる。
彼の切れ長の目の涙袋が、微かにけいれんしている。