イケメンルーキーに恋をした


先輩がバスケ部のマネージャーになってるのだって、本当はバスケがしたいのに、出来ないからなってるわけでしょ?


あたしが田尾くんだったら、そんな先輩の姿を見るだけでも辛い。


だけど、今はもう普通に動けるまでケガも治って、激しい運動は出来ないけど普段の生活に差し支えないとわかれば少しは安心する。


その安心感を求めて、田尾くんは先輩の様子をコソコソ見に行ってるんじゃないかな……。


「うぃーっす」


ポン。と、あたしの頭に優しい感触があって見上げると、紙パックのオレンジジュースを持った岩石先輩があたしを見下ろし口角を横に引いた。


「先輩」


あたしは先輩の手が触れた頭を触りながら、微笑み返す。


さおりは先輩の登場に急に目を輝かせ、近くの席から椅子だけを取って、自分の隣に先輩を座らせた。


さおりから一度も聞いたことはないけど、きっとさおりは先輩のことが好きだ。


聞かなくても、行動や表情を見てればわかる。


先輩を見ている時のさおりは本当に幸せそうだから、見てるこっちも幸せになるんだ。





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