続・捕らわれ姫




先生は、女性を愛おしそうに見て。


女性は、先生を見上げて微笑んでる。



その姿を見ながら、私の視界が揺れる…―――





「さくら」




声に、耳鳴りが消えた。




「……どうした?」





余りに酷いのかな。



私の顔をのぞき見た兄様が、心配そうに聞いてきた。




「…大丈夫。少し肌寒かっただけ」



声が震えてしまったけど。
でも、そんな事より斜め前の二人が気になって。




……気付かれたくない。



―――私に気付いて……




自分でも理解できない二つの感情に、泣きたくなる。



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