beautiful love ★ 俺様boyと天然girl

転入生

【水乃Side】

それから数日後。

いつもと変わらない朝。

教室に入って自分の席に鞄を置いていると、近くにいた宗太がこっちを向いた。

「水乃、おはよ」

「おはよー」

「なぁ、今日転校生来るの知ってる?」

「え、転校生?」

初めて聞いた。

思わず宗太を見る。

「そう。女の子らしいよ」

「へぇー、こんな時期に珍しいね」

「な。しかも結構可愛いらしい」

「もう知ってるの?」

「噂、噂」

「なんだぁ」

相変わらずこういう話をどこから仕入れてくるんだろう。

そんなことを話していると、宗太が急に声を落とした。

「名前、木南玲奈だって」

「そこまで知ってるの!?」

「俺の情報網なめんなよ」

「すごーい」

「絶対思ってないだろ」

「あははっ」

そんな話をしているうちにチャイムが鳴り、宗太も自分の席へ戻っていった。

しばらくして先生が教室に入ってくる。

「はいはい、みんな席についてー。もう知ってる人もいるみたいだけど、今日は新しいクラスメイトを紹介します」

教室が一気にざわついた。

「静かにー。じゃあ、入ってきて」

先生が廊下へ声をかける。

少しして、一人の女の子が教室に入ってきた。

「…………」

その瞬間。

さっきまで騒がしかった教室が、ほんの少しだけ静かになった。

――綺麗な子。

最初に思ったのは、それだった。

肩より少し長い、まっすぐな髪。

すらっとした体型に、大人っぽく整った顔立ち。

可愛いというより、綺麗。

同じ高校生なのに、なんだか私たちより少しだけ大人に見える。

「自己紹介、お願いできる?」

先生に言われて、女の子が小さく頷いた。

「木南玲奈です。よろしくお願いします」

落ち着いた声。

緊張している様子もほとんどなく、木南さんは静かに頭を下げた。

「木南さんの席は、あそこね」

先生が空いている席を指差す。

木南さんはもう一度軽く頭を下げると、その席へ向かって歩き出した。

「…………」

すれ違う男子たちが、明らかに木南さんを目で追っている。

宗太、可愛いっていうより綺麗じゃん。

あとで言ってやろう。

なんて思いながら何気なく早手を見ると。

早手は木南さんの方なんて見てもいなかった。

いつも通り頬杖をついて、眠そうに窓の外を眺めている。

――まあ、早手はそうだよね。

女の子が転校してきたくらいで騒ぐようなタイプじゃない。

それに。

その時の私も。

木南玲奈という女の子が転校してきたことを、特別なことだとは思っていなかった。

ただ。

クラスに新しい女の子が一人増えた。

それだけだった。
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