beautiful love ★ 俺様boyと天然girl
体育館に響いていたボールの音が止まる。
最後に打ったシュートがリングに当たって、そのままネットを揺らした。
壁に掛かっている時計を見ると、もう21時を少し過ぎていた。
「……やべ」
思ってたよりやったな。
ボールを片づけて、床に置いていたタオルを取る。
水を飲みながらスマホを見ると、水乃からメッセージが来ていた。
『まだやってる?』
その少しあとに。
『帰る時連絡してねー!』
「…………」
教室を出る時にも、忘れんなよって何回も言ってたな。
『今終わった』
それだけ返してスマホをポケットに入れ、急いで着替えてから体育館の戸締まりを確認する。
学校を出る頃には、辺りはもう真っ暗だった。
昼間はまだ暑いのに、この時間になると少しだけ風が冷たい。
人通りもほとんどない。
水乃には帰ったら連絡するって言ったし、さっさと帰るか。
そう思いながら歩いていると、少し先のバス停に制服姿の女が立っているのが見えた。
「…………?」
近づくにつれて、その横顔が見えてくる。
木南。
何であいつ、こんな時間にいるんだ。
そう思った時、木南がこっちを向いた。
目が合う。
「……早手?」
「何してんの」
「え?」
「こんな時間に」
「あ……」
木南が一瞬だけ言葉に詰まる。
「早手こそ。こんな時間まで学校?」
「部活」
「こんな時間まで?」
「自主練してた」
「そっか」
「ん」
それだけ言って、木南の前を通り過ぎる。
「じゃあな」
「……うん」
数歩歩いて、足を止めた。
放課後も、帰る気なさそうだったよな。
それに、教室で泣いてるところも見てる。
もう21時過ぎ。
「…………」
振り返る。
「木南」
「え?」
「……家どこ?」
「え?」
「家」
「何で?」
「どっち」
「えっと……こっちだけど」
木南が指さした方を見る。
俺が帰る方向とは、少し違う。
「遠い?」
「歩いたら20分くらい」
「ふーん」
そのまま木南が指さした方へ歩き出す。
「え、早手?」
「何」
「そっち、早手の家じゃないんじゃない?」
「違う」
「じゃあ、なんで」
「別に」
「別にって……」
「ほら、行くぞ」
少し遅れて、木南がついてくる。
「私、1人で帰れるよ?」
「知ってる」
「じゃあ――」
「もう21時過ぎてんだろ」
「…………」
「早く帰んぞ」
木南は少し黙ってから。
「……うん」
小さく答えた。
最初は、ほとんど会話がなかった。
俺も無理に話すことはしなかったし、木南もいつもより静かだった。
ただ、歩けば歩くほど木南の足取りが少しずつ遅くなっていく。
「木南」
「ん?」
「そっちで合ってんの?」
「合ってるよ」
「じゃあ何でそんな遅ぇの」
「……ちょっと疲れたのかも」
「ふーん」
それ以上は聞かず、そのまま歩く。
しばらくして、木南が口を開いた。
「早手」
「何」
「今日さ、修原さんと一緒にいたよね」
「いつ」
「放課後」
「ああ」
「やっぱり仲いいね」
「まあ、長ぇからな」
「ずっと一緒なんだっけ?」
「小さい頃から」
「そっか」
木南が少し笑う。
「いいなぁ」
「何が」
「そういう人がいるの」
「…………」
「小さい頃からずっと知ってて、何でも分かってくれる人」
「何でもは分かんねぇよ」
「でも、信頼してるでしょ?」
「……まあ」
「そっか」
木南はそれ以上何も言わなかった。
住宅地に近づくにつれて、さっきまでよりさらに口数が減っていった。
それからしばらく歩いて、住宅地に入った。
街灯も少なくなって、辺りは静かだった。
「早手」
「何」
「もうここで大丈夫」
木南が足を止める。
「家、この近くだから」
「そう」
「うん。ありがとう」
「別に」
「じゃあ……また明日」
「ん」
木南が俺に背を向けた。
最後に打ったシュートがリングに当たって、そのままネットを揺らした。
壁に掛かっている時計を見ると、もう21時を少し過ぎていた。
「……やべ」
思ってたよりやったな。
ボールを片づけて、床に置いていたタオルを取る。
水を飲みながらスマホを見ると、水乃からメッセージが来ていた。
『まだやってる?』
その少しあとに。
『帰る時連絡してねー!』
「…………」
教室を出る時にも、忘れんなよって何回も言ってたな。
『今終わった』
それだけ返してスマホをポケットに入れ、急いで着替えてから体育館の戸締まりを確認する。
学校を出る頃には、辺りはもう真っ暗だった。
昼間はまだ暑いのに、この時間になると少しだけ風が冷たい。
人通りもほとんどない。
水乃には帰ったら連絡するって言ったし、さっさと帰るか。
そう思いながら歩いていると、少し先のバス停に制服姿の女が立っているのが見えた。
「…………?」
近づくにつれて、その横顔が見えてくる。
木南。
何であいつ、こんな時間にいるんだ。
そう思った時、木南がこっちを向いた。
目が合う。
「……早手?」
「何してんの」
「え?」
「こんな時間に」
「あ……」
木南が一瞬だけ言葉に詰まる。
「早手こそ。こんな時間まで学校?」
「部活」
「こんな時間まで?」
「自主練してた」
「そっか」
「ん」
それだけ言って、木南の前を通り過ぎる。
「じゃあな」
「……うん」
数歩歩いて、足を止めた。
放課後も、帰る気なさそうだったよな。
それに、教室で泣いてるところも見てる。
もう21時過ぎ。
「…………」
振り返る。
「木南」
「え?」
「……家どこ?」
「え?」
「家」
「何で?」
「どっち」
「えっと……こっちだけど」
木南が指さした方を見る。
俺が帰る方向とは、少し違う。
「遠い?」
「歩いたら20分くらい」
「ふーん」
そのまま木南が指さした方へ歩き出す。
「え、早手?」
「何」
「そっち、早手の家じゃないんじゃない?」
「違う」
「じゃあ、なんで」
「別に」
「別にって……」
「ほら、行くぞ」
少し遅れて、木南がついてくる。
「私、1人で帰れるよ?」
「知ってる」
「じゃあ――」
「もう21時過ぎてんだろ」
「…………」
「早く帰んぞ」
木南は少し黙ってから。
「……うん」
小さく答えた。
最初は、ほとんど会話がなかった。
俺も無理に話すことはしなかったし、木南もいつもより静かだった。
ただ、歩けば歩くほど木南の足取りが少しずつ遅くなっていく。
「木南」
「ん?」
「そっちで合ってんの?」
「合ってるよ」
「じゃあ何でそんな遅ぇの」
「……ちょっと疲れたのかも」
「ふーん」
それ以上は聞かず、そのまま歩く。
しばらくして、木南が口を開いた。
「早手」
「何」
「今日さ、修原さんと一緒にいたよね」
「いつ」
「放課後」
「ああ」
「やっぱり仲いいね」
「まあ、長ぇからな」
「ずっと一緒なんだっけ?」
「小さい頃から」
「そっか」
木南が少し笑う。
「いいなぁ」
「何が」
「そういう人がいるの」
「…………」
「小さい頃からずっと知ってて、何でも分かってくれる人」
「何でもは分かんねぇよ」
「でも、信頼してるでしょ?」
「……まあ」
「そっか」
木南はそれ以上何も言わなかった。
住宅地に近づくにつれて、さっきまでよりさらに口数が減っていった。
それからしばらく歩いて、住宅地に入った。
街灯も少なくなって、辺りは静かだった。
「早手」
「何」
「もうここで大丈夫」
木南が足を止める。
「家、この近くだから」
「そう」
「うん。ありがとう」
「別に」
「じゃあ……また明日」
「ん」
木南が俺に背を向けた。