【BL】夕立の中、佇む君は
涙はやがて雨となる。
笑顔が印象的だった。
逆に言えば、笑顔の彼しか見たことがない。
俺達の出会いは高校の入学式。
同じクラスで席が隣。
当然すぐ打ち解けた。
あっという間に君は俺にとってかけがえのない存在になった。
長い月日を共にしても、俺は君の笑顔しか知らない。
高校を卒業しても、同じ進路を選択した俺たちは、共に大学進学を果たした。
そんなある日だった。
「彼女が出来たんだ。」
少し恥じらいながら君は言う。
俺は
「良かったね。」
と口にしながら、心は穏やかじゃなかった。
この時だ。
俺が君のことを好きだと自覚してしまったのは。
本当は、気付きたくなかったんだよ。
だって君とは、良い関係で居たかったから。