さよならをください
さて、話を作品のことに戻すと、頭の中に物語ができ、それをストーリーにする段階で色々なことが加わりました。

皆さん、お気づきの方もいらっしゃると思いますが、この作品には携帯電話やパソコンは一切出てきません。

それは加わった色々なことのなかで、僕が一番訴えたいことだったからです。

もちろん、携帯電話やパソコンが悪いということを言うつもりはありません。

僕自身も使っていて非常に便利に感じていますし、これらが無ければ皆さんに出会うことはありまんせんでしたから・・・


携帯電話でメールを打てばすぐに人と連絡が繋がる

パソコンで検索すれば探していたものがすぐに見つかる


便利ですね。



だけど、それに寂しさを感じてしまうのは僕だけでしょうか?

最近は告白でもメールでする人が増えてきているといいますが、そんな大事な想いをそれで済ませていいのでしょうか?

曲名と歌手の名前を打ち込めばすぐに手に入り聴けるかもしれませんが、果たして同じ想いで聴けるのでしょうか?



僕は現在の年齢は28歳で、世間的に見れば若く、40~50代それ以上の世代の方からすれば十分なデジタル世代でしょう。

だけど、僕には便利すぎる今の世の中は窮屈です。

作品中、ユミナ先生が言った言葉「自分というもの、自分にとって大切なものの価値が分からなくなってしまい、人はそのことに対する想いを何も感じなくなってしまう」というものは、僕が感じている本音です。

だからこそ、敢えて僕は中古のCDショップに行ったり、古本屋に行ったりして、そういう物を探し求めているのです。

きっと、そのほうが見つけたときの感動は大きいでしょうし、あのときと似た想いでそれらに触れられるのではないかと思っているからです。



世の中、便利になりましたし、まだまだ便利になるでしょう。

だけど、もう少し、ほんの少しだけでもいい。

不便であってもいいのではないでしょうか。
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