愛してるよ、何よりも
『おいでよ、こっち』
彼は私の話をちゃんと聞いていたのだろうか。
麗斗の言葉を聞いて、思わずそう疑いたくなった。
『私の話聞いてた?』
『うん』
『じゃあどうして、そんなこと言うの?』
『美桜が俺と関わりたくなくても、俺は美桜と飲みたいから』
『……』
そんな優しい声で言われたら、きっと誰でも錯覚してしまう。
あの日の私の様に。
相変わらず、変わってないな……。
『私が嫌だって言っても?』
『それでも、来てほしい。久しぶりじゃん!俺ら会うの』
一向に引いてくれそうにない麗斗の様子を見て、このまま話をしていても時間の無駄なような気がした。
『なぁ?来てよ』
行きたくない。でもこれ以上私が頑なに断って、夢子に不審がられても後々面倒になる。
でも、麗斗に会いたくない。彼と関わって過去を思い出して涙を流したくない。
そんな二つの感情が入り混じって、なかなか私は言葉を発せないでいた。
『場所はこの前合コンした居酒屋!じゃあ待ってるから!』
すると、それだけ言って麗斗は電話を切ってしまった。