愛してるよ、何よりも

店前に出来た水たまりを避けるように歩いて、麗斗は私との距離を詰めてきた。


「雨降ってんじゃん」


「うん…」


「寒かっただろ?中早く入ろう」


「うん…」


私は頷くことが精いっぱいだった。


そんな私とは対象に麗斗は平然と私の腕を掴んで、そのまま手を引いて店内へと足を進めた。


こんなこと普通のことなのに、私はハッとしてしまった。


私が25歳になったということは、麗斗はもう27歳だ。


お互い、いい歳した大人。それなのにこんなことで、何を焦ってるんだか…。


手を引かれるがまま、店内を歩いていくと角の4人掛けの席に座る夢子と麗斗の連れらしき男性の姿が目に飛び込んできた。


「あー!美桜、来たー!!」


夢子の隣に腰を下ろすと、夢子は酔ってるのか虚ろな目で私に抱き付いてきた。


「夢子、酔ってる?」


「ふふふ。酔ってないよー!」


顔は少し赤いし、目は虚ろだし、呂律も若干回ってない。


やばい、これは完全に出来上がってる…。


明日は会社なのに、夢子大丈夫かな?


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