愛してるよ、何よりも

家を出て40分、私の目の前には麗斗に初めて再会した時の合コンの居酒屋の看板がある。


この扉を開ければ、また彼と会うことになる。


そう考えただけで、心臓だけが別の生き物になってしまったかのように、私の体内で激しく暴れはじめた。


「ふー…」


大きく息を吐いて、扉を開けようとした瞬間、ガラッと大きな音を立てて開いた。


中から出てきた人を見て、扉に伸ばした手をそのままにして固まってしまった。


「美桜!」


麗斗……。


この前とは違って、トレーナーにチノパンとラフな格好をした麗斗の姿があった。


「来るの遅いから、もしかしたら来ないんじゃないかと思って、外出てきたんだ」


「そう…」


麗斗の顔を見れず、私は俯いた。


この気持ちは何と言い表せばいいのだろうか。


怖いとかではなくて、恥ずかしいも違くて、ただ胸がキューっと苦しくなる。


でもそれは、恋をしているときのドキドキではなくて、会社でプレゼンをする直前のようなドキドキでもない。


彼を見た瞬間、経験したことのない苦しさが、全身を駆け巡った。

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