私の彼氏は中国人留学生
「遅かったね?」



そんなに待たせてないと思うけど、五分くらいは待たせてしまったかもしれない。

従業員用出口のところで待っていてくれた暁明に駆け寄る。



「ごめんね、店長とドラマの話で盛り上がっちゃって」



まさか、あなたの悪口で盛り上がってて遅くなりました、とはとてもじゃないけど言えない。


でも......本当に悪口言ってるだけじゃだめだよね。

今はまだいいけど、あまりにもひどいようだと、これからの暁明の日本生活が心配だ。

笑い話で済まされなくなる時が、いつかくるかもしれない。


それにバイトだけじゃなくて、暁明の日本人の友達からも嫌われちゃうかもしれないし。


暁明は中国人だけど、日本で生活してるんだから、最低限の日本のルールは守ってもらわないとやっぱり困る。


今までなあなあになっていたけど、今日こそ暁明にびしっと言おう。


他の中国人までは面倒見切れないけど、せめて暁明だけは何とかしないと......!

そう決意をかためて、アパートまでの道のりを歩いた。
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