金魚すくい
「昨日言ったけど、俺彼女いないからさ、こういうとこに来てみたいと思ってもなかなか来れなくてね」
「どうしてですか?」
「どうしてって……こんな店にヤローと来ても楽しくないでしょ」
眉間にシワを寄せて、真剣な表情で言う勉さん。
そうじゃなくって、勉さんなら一緒に来てくれる女性の方がたくさんいると思うけど。
そう思ったがそれを言葉にする前に、勉さんはメニューを取り、私に渡してきた。
「飲み物はウーロン茶かな? 食べたいものあったら言って。適当に頼むから」
「あっ、はい」
そう言って私はメニューに視線を落とし、勉さんは店員を呼んだ。
「はい、お決まりでしょうか」
やって来た店員は席を案内してくれた人とはまた違っていた。
私はメニューから視線を外し、何気なく顔を上げた。
するとーー。