空歌
タイトル未編集

綺麗な透明のステージに純白のウエディングドレスを着て360度観客の視線を集めるあたし。

始まった。

あたしの大事な居場所。

あたしが唯一輝けるステージ。

親に捨てられたあたしはたった1人の姉妹のお姉ちゃんと一緒にボッロボロな人生を生きてき

たんだ。

誰もあたし達の事を助けてくれなかった。

そして、唯一ボロボロなあたし達を助けてくれたのが世界でも有名なアイドルや歌手やモデ

ル・芸人を生み出している”JEWEL事務所”女社長の宝条さんだった。

宝条さんはショッピングモールでウロウロしていたあたし達をオファーした。

それであたしはモデルデビュー。

お姉ちゃんはあたしのマネージャーをしてる。

でも、あたしよりお姉ちゃんの方がとっても綺麗だし美人だし…何であたしだったんだろ。

でも、あたしは今結構お金が入るほどの人気……らしい。

確かに、休みが全然ない。

今度も、世界で有名なファッションショーに出演する事にもなっている。

舞台はイタリア。

初めての海外!って言いたいんだけど、そうではない。

モデルになってしょっちゅう海外で撮影とか、バラエティでのロケとかもう沢山。

今立ってるステージも日本では有名なファッションショー。

そのファッションショーの最初と最後を任せられた。

何か、凄い緊張感。

何であたしなんだろ…?

黒いホール内を照らす一筋の光があたしに向けられた瞬間に金色と銀色のテープが発射され、

同時に大きい音楽とあたしの後ろにあるパネルが点滅する。

わぁぁぁぁぁっ!!!

お客さん達の歓声の中あたしは600メートル程あるストレートのロードを純白のドレスに手

を添えながらお客さん達に手を振りながら歩く。

それにしても、歓声が素晴らしい。

東京ドーム3個分のこのホールには400万人以上のお客さんがあふれている。

それでか、とっても熱い。

あたしが歩き終わると今回の司会者が出る。

ちょっと小さくなった歓声がまた司会者が出ると急激に大きくなる。

わお、今回の司会者ってそんなに有名なのかな…?

あたしは少し振り返ると出てきたのは…えっと、確かイケメン俳優で有名な蓮杖ルイさんだっ

け…?

そういえば、お姉ちゃんがファンだった気がする。

だから今日のお姉ちゃんいつもより機嫌が良かったんだ…。

そう思ってる内に蓮杖ルイさんがあたしの隣にきた。

微笑んで観客に挨拶する蓮杖さん。

うーん、お姉ちゃんがファンな気も分かるかも。

この人、カッコいいよ?笑ってると。

でも…チャラそう……。

そう思ってると蓮杖さんが急にあたしの手をとり手の甲にキスをしてきた。

は!?何してんの、この人。

あたしは一瞬笑顔が崩れそうになったけど…お客さんの前で笑顔は崩す事は出来ない。

あたしは蓮杖さんを見ながら微笑む。

普通なら振り払ったけどね?

一瞬ほんとに振り払いそうになったけど、バレてないよね??

よし、この人には本当に注意っと。

気を付けよう!

お姉ちゃんには内緒にしとこっと!

怒られるのはヤダからね…。

そして、挨拶を済ませたあたし達は退場。

そして、4時間にも及ぶ大ファッションショーに数えきれない程ロードを歩いたあたしは最後

にモデル達の先頭を歩いて、終了した。

この間に”運命”が動いていたなんて、あたしはまだ分からなかった。

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