パツ子と甘えん坊くん。



真琴の背中のTシャツをキュッと掴む。
それに気付いた真琴は動きを止めた。



「…ここにいるよ?あたしは真琴の傍に、隣にいるよ?真琴の隣以外、あたしはどこにも行かない」



力一杯真琴に抱きつく。
ずっと隣にいるということを感じさせるように。



頭上から真琴がふっと笑う声がした。
そして真琴の腕があたしの背中に回ってきた。



「…うん。俺も小夏の隣以外、どこにも行かない」



この言葉が嬉しくてつい顔を上げると、真琴が笑ってあたしを見ていた。



あたしも真琴の笑顔につられてニコッと笑う。
こんな笑顔になることあんまりないから珍しかったのか、真琴は頬を赤くしてた。



真琴、照れてる。



そんな真琴もまた可愛くてあたしの顔は赤くなる。



その顔を見られたくなくて、真琴のお腹に顔を埋める。



密着するって人前では恥ずかしいけど、真琴の体温が伝わってきて、とてもいいものだ。


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