*華月譚*月ノ章 姫君と盗賊の恋物語
小さな身体をふるふると震わせ、つぶらな瞳で見上げてくる子犬を、汀はぎゅっと抱きしめた。






「大丈夫よ!!


安心して、青丹丸!!



私があなたを立派に育て上げてみせるわっ!!」






そう宣言した晴れやかな笑顔を見て、露草は、ほぅ、と溜め息を洩らした。







(姫さまのこんなに明るいお顔、久々に
拝見したわ。


これで、いつもの姫さまに戻られるわね、きっとーーー)







そうして、青丹丸は晴れて、この一風変わった姫君に飼われることになったのだった。






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