*華月譚*月ノ章 姫君と盗賊の恋物語
灯が再び歩き出すと、子供たちがぞろぞろとついてきた。





「………あいかわらず子供たちに人気ね」




子供たちに取り囲まれて辟易している様子の灯を見ながら、卯花が呟いた。



それに同意するように、藤波も頷く。




「そうだよな。

あんなに無口で無愛想なのに、なんで子供に好かれるんだろう」




「糸萩も楪葉も懐いてるものね」





卯花の言葉を耳にした糸萩と楪葉が、ぴくりと反応する。






「ちょっと卯花!!


あたしと糸萩は子供じゃないよ!!」






「そうだそうだ!!


卯花ったら、いつもいつも僕らのこと子供あつかいして!!


同い年なのに、おかしいよ!!」






ぎゃんぎゃんと噛みつかれ、卯花は溜め息をつく。





「そういう風にすぐに騒ぐ、中身が子供だって言ってるのよ」





藤波もうんうんと頷いたので、糸萩と楪葉は不服そうに唇を尖らせた。








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