*華月譚*月ノ章 姫君と盗賊の恋物語
しゃがみ込んで待っていた汀の膝に、青丹丸が飛びつく。





「青丹丸っ!!」





枝を受け取った汀は、青丹丸の小さな顔に頬をすりすりした。





「あぁもうっ!!


この子ったら、なんて可愛いの!?

可愛すぎるっ!!


あーもうどうしてくれようかしら!!


食べちゃいたいっ!!」





そう叫んで、汀は口をあんぐりと開き、青丹丸の頭を口に含もうとする。




さすがに慌てた露草が、「姫さまいけませんっ!!」と簀子の上から止めた。





「あはは、冗談よ、冗談!!」





汀は可笑しそうに大笑いしたが。






(………姫さまがなさると、ご冗談には見えない………)





と露草は心のうちでげんなりとした。





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