*華月譚*月ノ章 姫君と盗賊の恋物語
青丹丸の毛と土で汚れた袿と袴を脱いだ汀は、小袖一枚のあられもない姿となる。




そこから覗く脚は、ほっそりとしていながらも、肉づきがよく健康的だ。






恥じらいもなく肌を晒しながら、汀は母屋の中を歩き回る。





その後ろを、青丹丸がちょこちょことついて回った。





汀は唐櫃の蓋を開け、中の衣装類をがさごそと漁る。





「………あら? 新しい袴はなかったかしら………」





その姿を見た露草は、慌てて近寄る。





「姫さま、そのようにご自身で探される必要はございません!


いま持って来させますから、ちょっとお待ちくださいませ」





「はぁい」





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