*華月譚*月ノ章 姫君と盗賊の恋物語
「…………なんでそんな冷たいこと言うの? 藤波………」






眉を顰めて唇を尖らせた楪葉を、藤波は困ったように見下ろした。






「…………ごめん。


ちょっと、嫌なことがあってさ」






「それで、機嫌が悪いの?


なんか、藤波、怒ってるみたい」






「別に怒っちゃいないよ」






「………ふぅん。ならいいけど………」






「ごめんな、楪葉」







藤波がそう言って笑みを浮かべてみせんと、楪葉は嬉しそうに笑った。






「かえろ! 藤波」




「うん。それ、持つよ」







藤波はそう言って、楪葉が摘みたての薬草を入れていた蔦籠を持ってやった。





楪葉はにこにこしながら、藤波の腕に抱きついた。








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