*華月譚*月ノ章 姫君と盗賊の恋物語
*
とにかく、東二条邸の男たちが汀と露草を見つけ出してしまう前に、二人の身柄を確保しなければならない。
灯は邸のまわりを一周し、汀の痕跡を探した。
裏門の辺りにさしかかったとき。
(……………あった。
この、若い果実のようなにおいは………。
間違いない、あいつのにおいだ)
少し離れたところで辺りに視線をめぐらせていた藤波を、灯が呼んだ。
「藤波、見つけたぞ。追おう」
「分かった」
灯の鼻を頼りに、二人は汀の跡をたどりはじめた。