イケメンの顔面踏んづけた結果。





慧side






“何であたしを見て言うの?”




そう言ったときのアイツのキョトンとした顔。



その横で爆笑をこらえている葵。




すっげームカつく!!!




学校から帰ってくるやいなや、俺はベッドにダイブして仰向けに寝転がった。





何でこんなにムカついてんのか自分でも分かんねーけど。




ていうかいつもそう。何でもないことでもアイツが絡むと、無性にイライラする。





その時、俺の苛々を逆なでするように、コンコン、とドアをノックする音がした。




「なんだよ!?」




キレ口調で返事をすると、ドアが開いて現れたのは渋い顔した親父。





「お前も新藤家の人間ならもう少し口を慎め」




…はぁ、出た。親父にとって一番大事なのはいつも、“新藤家”。もとい“新藤グループ”。




「…で、なんですか?何か用ですか?」




俺は仕方なくベッドから上半身を起こして聞いた。





「…こないだ言っていたお見合いの件だが、来週の日曜日に決まったからな」



「はぁ?来週の日曜?」




…まさかそんな早いとは思わなかった。




「…言っとくけどしねーからな、見合いなんて」



「ふざけるな。もう話はついてる」



「勝手に親父が進めただけだろ!いつも決定事項だけ言ってきやがって」



息子の意見なんていつも無視。



「だいたい、何で一橋商事なんかと見合いする必要があるんだよ。


…俺は新藤グループの後は継がないってこないだも言ったよな?」




「…それはお前が決めることじゃない」




そして一方的に話を切り上げ、背を向ける親父。





「いいな、来週の日曜日。空けておけよ」




…あーうぜー。








< 246 / 290 >

この作品をシェア

pagetop