イケメンの顔面踏んづけた結果。
…す……
すき?
新藤慧が?
あたしを?
「………ふーーーーん」
「…あ?お前なにその反応…ってうわ!?」
抱き締めている腕を緩めて、あたしの顔を覗き込んだ新藤慧が驚きに顔を引き攣らせた。
「おまっ…なに泣いてんだよ!!」
「知らないよバカー!!!」
知らないよ
知らないけどなんか嬉しくてホッとして信じられなくてでもやっぱり嬉しくて
そんな感情が全部、涙になって溢れ出てくる。
「…ふーん」
不敵に笑った新藤慧が
「ブッサイクな泣き顔」
相変わらず失礼なことを言いながら、グイッとあたしの涙を親指で拭う。
「泣くほど俺が好きなんだ?」
「…は?何それ超ムカつく」
「いいから答えろよブス」
…ほんっとムカつくこの男…
でも、言葉とは裏腹に優しげに頭を撫でる手つきが
どうしようもなくあたしを、素直にさせるから。
…しょーがないから答えてやるよ。
「…超、ムカつくくらい好き」
「……ムカつくは余計なんだよ」
袴姿の新藤慧と、部屋着姿のあたし。
街中の人の視線を浴びながら
素っ気なくそう言って、でも物凄く嬉しそうに笑った奴が
触れるだけの、キスをした。