桜の雨が降るとき

第三話   涼音

私が教室が着いた時、他のクラスメイトはもう殆ど席に着いていた。


先生はまだ来てなかったが、黒板には大きく「座席は壁際から横に出席番号順」と書かれていた。担任になった几帳面な深川先生らしいと思った。


私は二番らしいから、多分ここの席なんだけど……。



「……何?」



二番の席に座っている、伊沢亮が尋ねてきた。



「そこ、うちの席なんだよね……」


「へ?俺二番なんだけど」



伊沢はわざわざ名簿を見せてきた。面倒くさい奴だ……。



「うん、それにはそう書いてあるんだけど、本当はうちもこのクラスなの。ミスで入れ忘れたんだって」


「あっ、そう」


好意的なのかわからない返事をして伊沢は立ち上がる。私は気まずい思いでその席に座った。


ふと、隣に座る人が会話を聞いて目で私を追っているのに気付く。


この人は一番のはずだから……ああ、さっき芽衣と話していた天笠爽人って人だ。


すごく気になったけど、相手がこちらを見ていた様なので、目が合ったら気まずいから私は頑なに下を向く。


一方伊沢は、三番の子の所で話していた。


彼女は隣の子と話しこんでいたらしく、伊沢と私の会話を全く聞いていなかったようだ。


自然と、私の耳がその会話へと向く。



「そこ俺の席なんだって。変わってくれない?」


「はあ?あんた二番でしょ」
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