桜の雨が降るとき
「いや、俺は三番らしい」


「は?なんで?」


「知らない」



さっき説明したじゃないか。
そう言う手間を惜しまないで欲しい。



「はぁ〜?」



予想通り彼女はますます訳がわからなくなった様子で、伊沢が座っていた席ーーーつまり私の方を見てきた。



「涼音ちゃん、何があったの?てか、一組だったっけ?」



「なんかミスがあって、うちの名前が名簿から抜けてたの。本当困っちゃうよ〜……」


「そっかー」



ようやく納得顏彼女たちは立ち上がり、隣の席へ移動し、また説明している。



「えー、伊沢と隣なの〜?」


「俺だってお前なんかより爽くんと一緒がよかったよ……」



そういう会話をされると、何だか申し訳なくなってくる。
いや、私が悪いわけではないんだけど。


そんな私のところへ、去年のクラスメイトで仲の良かった子がちらほらと何かを察したようでやってきた。



「涼音なにがあったの?」


「涼ちゃんどした?」


「なんかね、先生がミスでこの名簿にうちの名前入れ忘れたんだけど、うちこのクラスらしいのね。でもみんなこっちの名簿で席順に座ってるから、みんなに一つずつずれてもらってるの」


「そうなんだ」


「じゃぁ私、みんなに事情説明して来るね」


「あ、うちも〜」


「本当?ありがと〜」

< 17 / 22 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop