桜の雨が降るとき
教室の各地に散らばって事情を説明しているみんなの姿を見ながら、何だかこの教室にきて初めてホッとしたなぁと思う。


不安だったとか心細かったとかいうわけではないけど、でも、

やっぱり、誰かが私の話を聞いてくれて味方になってくれるというのはそれだけで心強いものだ。


そのうち、みんなの協力の甲斐あって教室のあちこちで席を立つガタガタという音が聞こえてきた。



「涼音の名前が名簿から消えてたんだけど、うちのクラスなんだって。で、涼音が席に入ったから、みんな一個ずつずれて」



その説明を何度も繰り返し、順調にみんなは正しい席に着く……と思われたのだが。



「なんかね、涼ちゃんの名前ないんだけどうちのクラスなんだって。だから一個横に移動して」


「は?よくわかんないんだけど」


「いいから早く移動してよ!ほらあんたも早く!」


「だから誰がどうしたの?」


「俺もよくわかんないんだけど」


「うわ、さみしー」


「でもなんでそれが移動に繋がるんだ?」



ざわざわ、ざわざわ



順調どころか、いつの間にか教室は混乱に陥っていた。
男子生徒だけでなく、事情を知らない女子生徒たちもペチャクチャ喋り始めている。


あー、どうしよう。


これって、私のせい、だよね……。


だって、最初に私がみんなにゆっくり説明してれば、こんなことにはならなかったのかもしれないし……。


それに、やっぱり人に頼まないで自分の問題は自分で解決しなきゃだと思うし……。
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