再愛 ーサイアイー



泣かしたい訳じゃない。



本当は、優しくしてやりたいんだ。




優しく抱きしめて、



優しく笑いあって、



優しいキスをする。





それだけでいいんだ。




ーーでも、それは叶わない。





手を離し、解放された美幸は、しゃがみこんだまま声もあげずに泣いていた。





「……ゴメンな。」




俺は、美幸の涙に耐えられなかった。



謝罪の一言を残し、俺は空き教室を出た。






「本当に、ごめんっ。」




溢れてくる、涙は。



俺の頬を濡らす。





ーーーそれでも、好きなんだ。





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