Birth Day〜さよなら、悲しいあの日〜



わたしの歩くペースに合わせて自転車を押しながら滝川くいんと学校を出ようとしたとき



自転車置き場にたまっていた金髪の男子数人がこっちを見てなんか言ってる気がした



あの人達って前に滝川くんに殴られてた人...だよね?



「龍哉マジでムカつくよなぁ」



こそこそ小さい声だったけどハッキリ聞こえてきたその言葉



嫌われてるのかな?



「秦野早く出よう」



って急かす滝川くんにわたしも足を急がす



その後ろからは「ありえねぇ~」ってみんなが笑ってるのが聞こえた



門を出てわたしは



「あのさ...もしかして皆とうまくいって...ないの?」



なんて質問をした



「何で?...」



前を向いたまま真顔の滝川くん



「だってさっきの聞いて...」



「...」



「だとしたら...わたしのせいだよね...ゴメン」



「なんで秦野が謝ってんだよ

何でもねぇよ...」



とふと俯いて悲しい顔をしたと思ったら



「はい!この話終わりね~」



ってデコピンされたその顔にはいつもの笑顔が戻っていたけれど



ふと見せた悲しげな表情が『何でもない』とは言い難い



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