サヨナラのしずく
「メット1個しかねぇから、あんたかぶって」




渡されたヘルメットをかぶると、タクミさんがベルトの部分を調節してくれた。




「ありがとう」


「おう、事故ったらシュンさんにマジで殺されるな」


「なんで俊平に殺されるの?」




さっきから俊平に殺されるばっかり言って、余程俊平が怖いんだろうか。



「そりゃ、殺されるだろ。シュンさんの大事な彼女をケツに乗せて事故ったら」


「彼女じゃないし」


「は?」


「だから、あたし彼女じゃないよって」





タクミさんはあたしの顔を見て、真剣に驚いていた。



あたしからしたら、彼女だって勘違いされてたほうが驚きだ。



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