サヨナラのしずく
あたしはタクミさんと一緒にプレハブを出た。




「シュンさんに連絡するか?」


「いい」


「どうした?シュンさんと喧嘩でもした?」


「してない。でも俊平には会いたくない」




あたしがそう言うと、タクミさんは大きなため息をついた。




「あたし帰る。助けてくれてありがとうございました」




そう言って、歩きだしたあたしの腕を掴むタクミさん。




「シュンさんに見られたら俺殺されるかもしれねぇけど、バイク乗れ」


「え?」


「送ってく」


「いいよ、ひとりで帰れるから」


「黙って言うこと聞けよ。俺が心配だから送るって言ってんだ」




そう言って、掴まえた腕を引っ張りバイクの元まで連れてこられた。



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