サヨナラのしずく

もしかしたら、この時間はまだ寝ているのかもしれない。



でもここまで来て会わずに帰るなんてできなかった。



あたしは鞄から携帯を取りだし、数日ぶりに電源を入れた。



電源を入れた携帯には留守電が数件入っていた。



あたしは携帯を耳にあて、留守電を聞いていた。



“俺だ！聞いたらすぐに電話しろ”


“電話しろ”


“何かあったのか？”




そのあとも心配したような内容が入っていたり、ちょっとイライラした内容が入っていたりしてたり。



でも昨日の夜の最後の留守電はちょっと違った。




“雫…”




あたしの名前を切なそうに呼んだだけだった。