サヨナラのしずく
「あたしが帰るか心配だった?」


「ああ、心配だった。俺、お前に心配かけられすぎてそのうち死ぬ気がする」


「うん」


「うんってなんだよ。お前は俺を死なせたいのかよ」




心配されるのがすごく心地よい。



俊平には悪いけど、何だか安心する。



だって、どうでもいい相手に心配なんてしないでしょ?




「死んだらだめだよ」


「だったらちゃんと話せよ。なんでいきなり電話に出なくなった?」





俊平は真剣な眼差しをあたしに向けてくる。



あたしはちゃんと答えなきゃとは思うのに、言葉が見つからない。




「……マミか?俺があの時マミを優先してお前を帰したから怒ったのか?」





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