サヨナラのしずく
少し前なら、ずっと俊平といたいって思っていた。



俊平があたしの未来そのものだった。


だけど、もう未来はなくなった。




でも、こうして生きていくってことはちゃんと将来を考えなきゃいけないんだ。




「こんな夢もてるようになったのもシュンさんのおかげだよ」




えっ?


俊平…?




「うちさ、母親がいなくて父親がダメ親父だって言ったことあるよね?」


「うん」




初めて会ったその日に笑顔で話してくれた。



あたしはそんなことを笑顔で話せるユウカさんをすごいなって思ったんだ。



だってあたしは母親のことも俊平のことも笑顔でなんて話せない。



辛いことから逃げ続けてるんだ。



そのことに気づけたのはユウカさんとタクミさんのおかげ。





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