サヨナラのしずく
「そのせいでうち超貧乏で、お兄ちゃんは学校行かずに働いてたけど兄弟多いから全然足らなくて。で、あたしも高校進学諦めて働こうと思ってたの」




やっぱり今日もユウカさんの表情は全然辛そうじゃない。




「あたしバカだから、公立とか無理だしね。私立なんて絶対無理だって諦めてた。だけど、シュンさんがあたしの受験料から学費の全てを出してくれたの」




それで俊平のおかげだって言ったんだ。





「ほんと嬉しかった。今も高校いけてるのはシュンさんのおかげ。だから、あたしもシュンさんには借りを返さなきゃって思ってる」



この話を聞いてあたしは何となく不思議に思っていたことがわかった気がした。



それはタクミさんがどうしてあたしに優しくしてくれるのか。



タクミさんは面倒見がいいって言っていたけど、これじゃ面倒見がいい限度を超えてる。




だけどこの話を聞いて、タクミさんもユウカさんと同じ気持ちなんだと思った。



タクミさんは俊平に恩があるからあたしに優しくしてくれるんだ。





あたしを通して俊平に恩返しをしてるんだ。





この後もユウカさんといろんな話をした。



そしてカフェを出ようとしているとき、ユウカさんの携帯がなった。





< 274 / 358 >

この作品をシェア

pagetop