サヨナラのしずく
結局、あたしはこのタクミさんの言葉の意味を一生知ることはできない。



タクミさんがあたしをひとりの女として大事に思っていてくれたか知ることが出来なくなった…。



この日、あたしとタクミさんにとって最後の夜になった。



タクミさんはあたしの前からいなくなってしまった。



翌朝、目覚めるとタクミさんはすでに家にはいなかった。



そんなことは今まで何度もあったけど、夜中になっても帰ってこないなんてことはなかった。



あたしがひとりで眠れないことをわかってるタクミさんは必ず寝るときには帰ってきて、あたしと一緒に寝てくれていた。



なのに…タクミさんは帰ってきてはくれなかった。






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