サヨナラのしずく
「おい!どいてろ」




そうあたしに向けて言われている言葉も耳には入ってこず、あたしは黙って流れている血を見つめていた。



痛みは感じず、ただ血を見ているとやけに癒された。





「お前、死にてぇのか!」




そう言って、誰かが後ろからあたしの肩を掴む。



血から後ろにいる人に視線を移すと息切れした男がいた。




一瞬、男は目を丸くしてすぐに眉間にシワをよせあたしを睨むような瞳で見てきた。




「ナイフ振り回してるやつの横通るとか馬鹿か!」




そう言って、呆れたという顔で何故かあたしを睨んでくる。




< 3 / 358 >

この作品をシェア

pagetop