溺愛王子とヒミツな同居
「お待たせ~! 混んでて遅くなっちゃって……て、何この空気。
どうかしたの、2人とも」
タイミングがいいのか悪いのか、栞と宮内君の2人が飲み物を持って戻ってきてしまった。
「なんで謝んなきゃいけないの。自分の気持ちに正直に行動した結果なのに。
2人が付き合ってるってのもわかってるし、今さら、俺が何したって無駄だってわかってるけど……。
俺だって、ずっと小さい頃から、まりやのこと好きだった」
……えっ? 今、なんて言ったの……。
「ちょっ! 祥吾……いきなり何言っちゃってんの。
冗談でも笑えるように言ってくれないと、嘘でも笑えないって……」
何が起きてるのか把握できてない宮内君と栞は、引きつり笑いを浮かべて、この重々しい空気に何かを感じ取る。
この場の雰囲気を和まそうとしてくれた宮内君に構わず、谷山君は続けて話し出す。
「ヒロは、何しててもカッコイイ奴で、昔から俺の憧れだったし、今だってその気持ちは変わってない。
同い年なのに男の俺から見ても、本当にムカつくくらいカッコよくて。
だから、女子が騒ぐ気持ちだってわかるよ。こんな奴が近くにいたら、誰だって好きになると思うし」