糖度∞%の愛【改訂版】


「言ったでしょう、沙織さん」


声もなく泣き続ける私に、彼方は言う。


「俺はあなたとの結婚もちゃんと視野に入れたうえで告白したんです。ちゃんとそれも伝えたじゃないですか」


喉が震えて言葉にできない。それでもなんとかこくこくと、何度も頷いた。

“結婚を前提に”

確かに彼方はそう言って告白してくれた。ちゃんと覚えてる。


「それでも不安になるなら、何度だって俺はあなたに伝えます」


俯いたままちらりと見上げた真帆の顔は、“面白いことになってきた”と隠すことなく表情に現れている。


「好きです。あなたのすべてが好きです。 あなたがあなただから好きなんです」


温かくて胸がしめつけられる言葉とともに、ぎゅっと、今度こそしっかり抱きしめられた。
もう、周りからの追及に、言い逃れることはできないだろう。
明日には、私と彼方が付き合っていることが知れ渡るに違いない。

でも、それでもいい。

彼方と、こうやって面白がりながらも最後には私の味方になってくれる真帆がいれば、もう私に怖いものなんてない。
胸の前で交差していた彼方の腕をぎゅっと掴んで、涙がこぼれるまま、でもしっかり顔をあげる。


「私も、真帆と、彼方が、だいすき」


真帆の目を見て微笑みながら、そう伝えた。
返ってきた真帆の柔らかな笑みと、答えるようにぎゅっと強くなった抱きしめる腕に、どうしようもないほどの愛しさを感じた。






―― やっと堂々と俺のものだって言える。
   これも計算のうちだったと言ったら、あなたは怒りますか? ――


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