ゴッドネス・ティア
第三章
「先生〜〜っ!怪我しちゃった、助けてよぉ!!」

「うっるさい!こんな擦り傷くらいじゃ死なないから泣かないの!」



ここはある小さな村の医務室。

今日もそこは騒がしかった。



「だって痛いんだも〜ん…痛いったら痛いのぉっ!」

「だからって泣くな!男だろ!!」



ぐずぐずと泣きじゃくる男の子を半場強引的にあやしながら、ぐるぐるとその足に包帯をまいていく。

本当は絆創膏で全然大丈夫な傷なのだが、この年頃の男の子はどうしても包帯がいいらしい。


洗うの大変なのに!、等とぶつぶつ文句を言いながらも男の子の要望通りにする村の医者…ソフィア。


そんなソフィアを見て、泣きながらも朗らかに笑む男の子、だんだんと男の子に笑顔が戻ってきたみたいだ。



「はい、できた!」


「わ〜い!ソフィア先生ありがとう!!」


「お安い御用。さあ、遊びに行ってきな」


「うん!!」



きれいにまかれている包帯を見て、嬉しそうに外に飛び出していく男の子、去り際に一度立ち止まって、



「怪我したらまたくるからね〜!」


「もう来んな!!」


「えへへー先生はもっと女の子になってね!」



……痛いところをさされた。

子供っていうのはどうしてこう鋭いのか。



「ぅ、うるさい!さっさと行きなさい!!」

「うふふー、は〜い!」



楽しそうに微笑んで、男の子はスキップなんかして軽やかに外へ出ていった。

……転びやしないかとハラハラする。




男の子が出ていった後、医務室はシーンと静まり返った。

時計の針が規則正しく部屋に響く。















(あいつが旅に出て…この部屋も寂しくなったな…)




< 262 / 506 >

この作品をシェア

pagetop