王子様の危険な恋愛領域
や、やだな…。
これだけ密着してると、触れ合っているところから、私の鼓動が光琉に聞こえちゃいそう…。
もう少し落ち着こう…。
冷静になるのよ、冷静に。
深呼吸をしながら小さく胸元をさすって、上昇してしまった心拍数を平常通りに戻そうと奮闘していると、光琉が横から私の顔を覗き込んだ。
「何してんの?」
「べっ、別に何でもないよ…。」
「何でもないわけないだろ。胸元さすったり、何度も深呼吸したりしてるし、明らかに変じゃねぇか。」
光琉の鋭い指摘にピクリと肩があがる。
「どうした?具合、悪いのか…?」
心配そうな声で聞く光琉に、小さく首を横に振った。
「違う…。そ、そういうわけじゃないんだけど……」
「“けど”って、何だよ。」
「えっと……」
「紗姫、ハッキリ言え。」
原因不明のドキドキを落ち着けようとしてるなんて、言いにくい…。
曖昧に終わらせたいところだけど、光琉はそれを許してくれなさそうだし…。
こうなったら、ありのままを話すしかないよね…。