本当の俺を愛してくれないか?
俺と同じ寝坊組だろうか?

そんなことを考えながら乗り込んで来る人を見る。


「あっ...」


その声に視線は反らせなくなり。彼女もまた俺と同じように視線を反らさず見つめている。


そのままドアは閉まり、エレベーターはまた上へとあがっていく。


「...おはよう」


何か話さなくては。そして咄嗟に出た言葉。当たり障りない言葉なはずなのに、なぜか小林さんは俺を見るなり笑い出した。


「もっ...最上部長っ」


「えっ...なに?」


さっきまで俺と同じように気まずそうにしていたのにいきなり笑い出した小林さんに、俺は意味が分からず状態。


そんな小林さんがこんなに笑うようなこと言ったつもりはないんだけど。



「あの、もしかして寝坊しちゃったりしちゃいました?」


「えっ!?」


見事に図星をつかれ、驚きを隠せずにいると小林さんはますます笑い出す。


「気付いていませんか?」


そう言うと小林さんはエレベーターに備え付けられている鏡を指差す。


「...げっ!」


その鏡に写し出された自分の姿を見て、小林さんが笑った理由が分かってしまった。


俺の髪の毛は漫画のようにピョンとはねた寝癖がついていたんだから。


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