本当の俺を愛してくれないか?
「あっ...。それとそんな事情があるとは知らず最近彼女さんとはどうですか?としつこいくらいに毎回聞いてしまっていて、本当にすみませんでした...」


これは本当に。いくら知らなかったとは言え、無神経すぎたわよね...。


「...あはははは!」


「えっ?」


軽く反省している中、突然聞こえてきた笑い声。


その声の主は勿論最上部長で。
歩道の真ん中でお腹を抱えて笑っている。
そんな最上部長をすれ違う人は皆不振な目で見ては振り返っていくのに、当の最上部長本人は全くそんなの気にしていない様子で。

私はと言うと、初めて見た最上部長の表情に視線を奪われてしまったまま。


「あー...。ごめんごめん。笑ったりなんかして」


「いっ、いいえ!」


私の方はレアな最上部長を見せてもらえたし、何よりさっきみたいな辛そうな笑顔を見ているより数倍いい。


するとなぜか最上部長は私の方へゆっくりと歩み寄ってきて。


えっ...!なっ、何?


「あの、最上ぶちょ...」


次の瞬間、頭に触れる暖かいぬくもり。

最上部長の大きな大きな手のぬくもり。


その手はゆっくりと私の頭を撫でてくれて。

頭の上だけくすぐったくて堪らない。


驚きすぎて言葉がでない。
驚きすぎて身体が動かない。


そして次に聞こえてきたのは、頭上から聞こえる最上部長の優しい声。


「...ありがとう」


それはとても小さな声で、私にしか聞こえないような囁くような小さな声で。

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