【完】お人好しな彼に、恋をしました。
「す、すみません!」
「いや、俺の方こそ急いでて…すみません!」
聞いたことのあるような声にふと顔を上げる。
そこには、同じように尻もちをついている種梨くんがいた。
……右手には、可愛らしいキャラクターのビニール傘を持って。
「た、種梨くん!?ほ、ホントにごめんなさい!」
「俺は平気、ありがと。それより……びしょ濡れじゃん、大丈夫?」
立ち上がって、座り込んだままの私を傘の中に入れてくれる。