【完】お人好しな彼に、恋をしました。
「あれ、そういえば倉季さんとは一緒じゃないの?」
「あ、さっき別れて……」
てか、どうして彼がここにいるんだろう。
バイト中じゃないの?
それに彼だって、私とぶつかったせいでかなり濡れてるのに。
「さっきから雲行きが怪しいなと思ってたら、雨が降り出してさ……ふたり共傘持ってないみたいだったし
瀬野さん前にこの駅から帰ってたから、とりあえず追いかけたらまだ間に合うかなって……」
彼が差し出してくれた手を取り、立ち上がる。