これが、私の普通
8歳の出来事
母親と兄と、3人で食べるご飯。
当時からそれが普通であったし、父親が食卓に居ない事は気にもかけていなかった。



他愛もない会話をしながら夕飯を食べ、お風呂に入り、兄とTVゲームを楽しむ毎日。

眠くなったら2階にある「家族の寝室」に行って寝るのが、我が家の「流れ」だった。
8畳程の和室に、川の字のように布団を並べ、寝る部屋なのだ。


私が熟睡している夜中、父親は帰ってくる。

酒が大好きな父親は、おそらく毎晩、晩酌をしていただろう。
母親は酒が弱く、今でも酒を口にするのは月に1回あるかないか程度である。

酒が入り気分が上がる父親。
酔っ払いの戯言に付き合う母親。

おそらく、会話の「ズレ」から、喧嘩に繋がっていったのだろう。


幼い頃からちょっとした物音などで起きてしまう私には、夫婦喧嘩による色んな音は、悲痛なものだった。

物が壁に当たる音。
グラスが割れる音。
「やめて!」と叫ぶ母親の声。
言葉で言い表わせないような父親の罵声。


私には、全て聞こえていた。


1階で夫婦喧嘩が行われているのは分かっていたが、どうしてもトイレに行きたくて、1階に降りた事があった。
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