ハッピー☆ウエディング

「どっか、行きたい所ある?」



急な質問に、あたしはなんと答えていいかわからず




「え、えと・・・す・・・水族館」



って・・・うわ。

子供っぽいって思われたかな?




でも、最近新しく出きた水族館に、行ってみたかったのはたしか。

だからって、この、一ノ瀬慶介と一緒に行かなくてもいいんだ。
てゆーか、あまり気乗りしない。


なにを話していいかもわからないし、この車という密室に2人きりでいるのも息が詰まりそうだった。


きっと、慶介も行きたくないだろうな・・・
そうだ。そうに決まってる。



――ー断ろう。



今日のデートも・・・・・・・婚約も。




「あの・・・・・・・・一ノ瀬さ・・・」

「水族館て・・・」



あたしの言葉を最後まで聞かずに慶介は言った。



「最近出来たところ?」



そう言って車のエンジンをかける。



「え?・・・そ・・・そうです」

「じゃあ、そこ行こうか」

「・・・・・・・」



口角をキュッと上げて笑った慶介。

その顔があまりに魅力的で、喉まで出かかった言葉はどこかに引っ込んでしまった。



・・・慶介を前にして、あたしは何も言えなくなってしまう。
見つめられると、その瞳に吸い込まれそうになるのを堪えるので精一杯だし。



緩やかにスタートした車。


水族館か・・・・・・
憧れてたな・・・彼氏とのデート。

でも・・・
あたしは、運転席の慶介を見上げた。


この人と、ムードのある水族館が不釣合いに思えて仕方なかった。


休日の道路は車も少なくわりとスムーズに水族館へと向かっていく。


「・・・・・・・・」


あたしは、ただ車に乗っているだけなのにドキドキがとまらなくなっていた。






どうしよう・・・




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