ハッピー☆ウエディング

『葵・・・?よかった。今、どこ』



受話器越しの瑛太はとても焦っていた。
走っているようで荒い息遣いが聞こえてくる。



「どこって・・・家にいるけど。どうしたの?」



あたしは、出来るだけゆっくり答えた。



『慶介さんは?・・・一緒にいんの?』









あの日、瑛太のライブを見に行った日から2週間たっていた。

すごく久しぶりに感じる瑛太の声。
それから、慶介の名前。



慶介の仕事が忙しくて、12月に入ってからは残業が続いていて連絡もそんなにとれていなかったんだ。





あたしが、前のようにイライラしなくなったのは、慶介のキスのおかげ。



穏やかで静かな慶介。

キスもドキドキするけど、すごく心がほんわかしてあったかくなるんだ。












でも、あの日のキスはいつもとどこか違ってた。




車のドアに手をかけたあたしの腕をつかんだ慶介。

覆いかぶさるようにして、あたしの顔を覗き込んだ慶介の瞳は、とても切なくて胸の奥をキュッと締め付けた。


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