ハッピー☆ウエディング



バターーン!!!



ドスドスドスドスッ






静寂な朝に似つかわしくない強烈な音と共に、なにかを叩くような音・・・・



だんだん近づいてくる・・・



・・・・・・・・・・・・・え?



・・・近づいて?




「!?」




あたしに覆いかぶさっていた慶介は、驚いてガバッと体を離した。



その瞬間――







「助けてぇーー!」



バーン!


勢い良く開かれた寝室のドア。



「・・・・・」

「・・・・・」



その一点に集中して、今まさに愛し合おうとして固まってしまったあたし達。


その視線の先で、あたし達に負けじと固まっているのは・・・・






「絵梨・・・・ど・・・どうした」





わ。慶介が動揺してる・・・・

慶介は今まで見た事のないくらい青い顔で、ドアを開けたまま突っ立っている絵梨ちゃんを見つめている。

あたしはなぜか、声を発する事が出来ず慶介と絵梨ちゃんの顔を交互に見た。



人間・・・・ほんとにびっくりした時は身動き1つとれないんですね・・・


勉強勉強。



ワナワナと震える絵梨ちゃんの瞳はみるみるうちに涙が溢れた。



「うわーん!みんなきらいーー」

「え?・・・お、おい・・・絵梨?」





そう叫んで、来た道を引き返していく義理の妹の後姿。




バタバタバタッ


「なんなんだ?あいつ」


「・・・・・・」


そう言ったまま呆気にとられている慶介。
ポリポリと頭を掻きながら慶介はあたしの顔を覗き込んだ。


「葵・・・その、ごめんな」


申し訳なさそうな慶介の表情に、思わず笑いが込み上げた。


「あはは。玄関開いてるの忘れてたぁ」


「・・・・」


そう言って笑うあたしの髪に慶介はそっと触れた。


―――ドキン


また性懲りもなく胸が飛び跳ねる。





「・・・続きする?」

「・・・ばか」


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