LOVERS♥HOLICK~年下ワンコと恋をして
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エレベーターが開いた瞬間

視界に入ってきた

彗の姿


どくん


心臓の音がした。

刹那

鋭いようなけれどあっかいものが

私の身体を貫く

恋に落ちるって

こういう感じなんだろうか。

嬉しくて切ない。

やだ、このホテルの一室で抱かれていたのは、

そう何時間も前の事じゃないのに

彗の姿をとらえた途端

私の中の感情はとんでもなく肥大して

弾ける寸前。


「あ、彗っ……」

振り向いたその顔は

眉毛が下がって

今にも泣きだしそうで、


「ひ……」

けどその次の瞬間

私の視界には彗の胸に収まっていた。

「よかった……」


どくん


再び大きく高鳴った音は

彗の心音と重なってさっきよろずっと甘い音を奏でた。


「心配させたね。」

「良かった。」


そのあと言葉はいらなかった。

心音の重なりがすべてわかっているよというように

甘い音をたて続けていたから。




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