LOVERS♥HOLICK~年下ワンコと恋をして
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彗は相槌を打つ事もなく

黙って私の話を聞きながら

するするとリンゴをむく。

私はその落ちて行く皮を見つめながら、

歪んで行く画像を崩さないように

必死で耐えていた。


昔の事なのに、

いつまでもうじうじしている自分の方が情けない。

少なくても高校卒業するまで養ってくれた親を

恨むなんてそんなんじゃない。

けれど、

どんな風に戻っていいのか、分からなかった。

いや、勇気がなかった。

どう考えたって他の人が聞いたら、

私が意地を張ってるって思うだろう。

意地を張りすぎて、緩ませ方を忘れているだけの、

ただの子どもなんだもの。


いい歳して

……馬鹿みたい


ポロリ……

ついに堤防は決壊

涙がこぼれた。

「ああ、もうっ」

決壊した涙の河はもう

止まらない……




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