LOVERS♥HOLICK~年下ワンコと恋をして
僕の身の上話で締めくくられてしまった。

柊の家庭訪問は、

あれっきり一言も、

お父さんから言葉を貰えないままだった。


父の話をしてしまったのは失敗だったのだろうか、

けれど、避けて通ったところでいずれは話さなくてはならない。


取りあえず、会って貰って知ってもらった。


帰りがけに、お母さんが、


「柊をお願いしますね。」


と、声を掛けてくれたことは、

それだけで、第一関門はクリアなのだろうと思うことにした。


柊が家族に会うことができたこと、

これも大きなことだったはず。


100点満点で言えば、50点ぐらいもらえたのだろうか

「ごめん、柊、

 僕色々失敗しちゃったね。」


駅のホームで、

電車を待ちながら、

ベンチで座っていた柊に、ホットドリンクを手渡しながら謝った。



「ふふ……上出来よ。


 彗らしくて嬉しかった。


 ありがとね。

 いっぱい頑張ってくれて。」



柊はそのまま、隣のベンチに腰を下ろした僕の肩に

コツンと首を載せて、

「大好きよ彗」

と笑った。


あ、

まただ。


時々来る、

切ないような泣きそうな胸のうずくような痛み。


あなたの傍にいるだけで、

僕はこんなに幸せなんだ。


肩から伝わるぬくもりに泣きそうになりながら駅の空気を吸い込んだ。










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